ima AUTUMN & WINTER 2016

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タフなサーフゲームを攻略する
新ルアー
Santis 33、開発の背景。

VOL.2形状の秘密と
名前の由来

飛距離とスローアクションの両立。
答えは独自の形状にあった。

飛距離とスローアクション、相反する二つの能力を両立するために、
この独自の形状に辿り着きました。よく見たら何か、
カマキリみたいに見えませんか?サンティスの名前って実は
そこから来ています。サンド(砂)+マンティス(カマキリ)ですね。
カメっぽくも見えたんですけど、水棲動物より、陸に生きる
カマキリにした方が意外性があってちょっと面白いなって……。
名前を考えるのも、ルアーの開発の中の楽しい経緯のひとつですよね。

「カマキリの背中」が設計のキモ。

さて、サンティスの形状について。まずお話したいのはカマキリの背中にあたる部分です。ちょっと下(腹側)に凹んで、カップ状になっていますよね。私はこれをサスケのレードルリップにちなんでレードルカップ(注:レードル・料理道具、おたまのすこし尖ったようなもの)と呼んでいます。ここに水を受けて低速の泳ぎの中でも、ローリング+スラロームの艶めかしい動きをしっかりと作りだします。この設計には特に力を入れました。サスケのレードルリップと同じく、水噛みにとことんこだわるのはimaルアーの伝統と言えるのかもしれません。

設計のキモレードルカップ

艶かしいアクション

ローリング+スラローム

レードルカップには、もうひとつ重要な役割があります。それは、ブレード装着時のルアー本体の動きです。通常、ジグにブレードを付けると、ブレードが勢いよく回り、それに負けてジグ本体は棒のようにほとんどアクションしなくなるか、ブレードにつられて一緒にクルクルと回ってしまう……。しかし、それは今回私の目指すアクションではありませんでした。レードルカップによる水噛みの良さは、サンティスの本体がブレードにつられることを防ぎ、ブレードが回りながらでも従来の動きをするよう設計してあります。つまり本体のローリング+スラローム、さらにブレード回転のアピールという、3種の複合的なアクションで、より効果的にターゲットにアピールできる、というわけなんです。

後方重心と水平フォール

さらにもう一つ、私がこだわったのは、飛距離とフォール姿勢の両立です。まずは、飛距離を得るために、後方重心の設計にしています。しかし後方重心のルアーはお尻からストンと落ちるようなフォール姿勢になりがちです。だけどスレた魚にスローにアピールしていく上で、そこはなんとかしたい。そこで背中部分の形状の細かな設計の調整によって、飛距離が出る後方重心でありながら、しっかりと魚にアピールできる、ヒラヒラと落ちていく水平フォールを実現しました。

このように、このルアーの設計をお話していると、どうしても色々な要素が出てきてしまうのですが、それだけ欲張って、そしてその分こだわって作っています。こういった複雑なアクションの要素を両立させ、活かすためには、設計上絶妙なバランスが必要です。重心を少しずつずらして設計を繰り返し、ルアーの幅やバランス、水の受け方……あらゆる要素をチェックしながらいくつもサンプルを作り、ようやく完成へと漕ぎつけました。面白くて、釣れる。自信作です。でも、まだお話したいことはあるんです!(笑)次回は、サンティスの核となる3つの要素についてご説明したいと思います。